最高裁判所第三小法廷 昭和43年(オ)946号 判決 1970年11月24日
上告人 城所信春(仮名)
被上告人 平山浩司(仮名)
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人丸山郁三の上告理由について。
民法八二六条所定の親権者とその未成年の子との利益が相反する行為とは、単に親権者とその子とが相対立する当事者となつてする行為のみに限定されるものではなく、親権者が第三者から金員を借り受けるにあたり、その子が連帯債務を負担し、また、同債務を担保するため、その子の不動産につき、代物弁済の予約、停止条件付賃借権の設定をなし、さらに、右代物弁済の予約完結の意思表示により右不動産の所有権が第三者に移転したことを即決和解または私法上の和解契約において確認するなどの行為をも包含するものと解するのが相当である。したがつて、これと同一の見解に立つた原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解に立つて原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 松本正雄 裁判官 下村三郎 飯村義美 関根小郷)